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EMS|国際スピード郵便で輸入した貨物をベトナム国内で販売する時に気をつけるべきこと。

ベトナムで販売する商品をEMSで貿易輸入する際に気をつけたいこと。

EMS等の国際郵便で「個人利用」としてベトナムへ輸入した商品は、ベトナム国内での販売が禁止されています。

そのため、ベトナム国内での販売を目的に輸入する場合は「貿易輸入(TRADING IMPORT/COMMERCIAL USE)」として、EMS便を手配する必要があります。

ベトナムの主な輸入通関手続き
  1. TRADING IMPORT
    (COMMERCIAL USE)
    貿易輸入[*当記事内容]
  2. NO COMMERCIAL IMPORT
    無償貨物(非商業目的輸入)輸入
  3. PROCESSING IMPORT
    一般的に輸出加工型企業(EPE企業)向けに適応される輸入手続き
  4. MANUFACTURING IMPORT
    輸入した資材(有償)から製品を製造・国外輸出する場合
  5. FIX ASSET IMPORT
    工場等で固定資産として利用する貨物の輸入
当記事はベトナムの販売事業様とお取引を行なっている、日系商社様やメーカー様を読者と想定しています。

一方で、「サンプル利用(NO COMMERCIAL IMPORT/USE)」として輸入したい法人様は、手配する商品の数量や分類、金額(総額が50USD以下)によっては、会計上の観点から受取先を「個人」として手続きした方が無難な場合もあります。

関連記事「DHL国際便の宛名を発送後に変更|イタリアからベトナムへ発送してもらった荷物の宛名を会社から個人へ変更した話

また、日本に住んでいる家族や友人からの贈り物など、「プライベート利用」の品をEMSを利用して発送してもらう場合があると思います。(大半がこのケース)

この場合は、パスポートと発送通知書をEMSの支店窓口又はメールで提示すれば簡単に商品を受け取れます。[上図: 輸入通関手続き②に該当] なので、安心してここで当記事を離脱してください。

 

必要書類8部|「ベトナム国内での販売」を目的にEMS便を手配する場合

ケース 受取先 国内販売 必要書類
法人 可能 I/V, P/L, P/I, S/C, C/O, D/N, B/S, C/B
個人 不可能 D/N, Passport
  1. I/V: インボイス(Invoice)
  2. P/L: パッキングリスト(Packing List)
  3. P/I: 請求書(Payment Invoice)
  4. S/C: 販売確認書(Sales Confirmation)
  5. C/O: 原産地証明書(Certificate of Origin)
  6. D/N: 発送通知書(Dispatch Note)
  7. B/S: 支払い明細書(Bank Slip)
  8. C/B: 化粧品開示書受領番号(Công Bố/Announcement)

日本側の手配書類: ①,②,③,④,⑤,⑥

ベトナム側の手配書類: ⑦,⑧

 

受取先情報

受取先情報をベトナム国内で商品を販売する「法人名義」で日本側に発送手配してもらい、正しく通関手続きをする必要があります。

下記で、ベトナム国内での販売を目的とした場合のEMS輸入では「個人名義」での受け取りが不可である理由をお伝えします。

 

「貿易輸入(TRADING IMPORT)」として、EMS便を手配する理由

理由はシンプルで、「個人名義 = 非商業目的輸入(NO COMMERCIAL IMPORT)」として輸入すると、ベトナム国内における商業目的での販売が認められないためです。

「非商業目的輸入(NO COMMERCIAL IMPORT)」でも、評価申告が必要税関への申告は必須です。インボイス上に「無償貨物」であることを明記し、正しい品名や金額(有償取引の場合の価格)を記載します。[通達39/2015/TT-BTC, 通達60/2019/TT-BTC]

別の切り口として、VAT控除の観点から商流をみても首尾一貫しています。

  • ベトナム国内で販売する。 = 付加価値税(VAT)を受け取ることになる。
  • VAT控除(又は還付)するためには、輸入(通関)時に付加価値税を支払う必要がある。
  • つまり貿易輸入(TRADING IMPORT)として輸入する必要がある。

こうした理由から、海上便(コンテナ)などと同等に「①貿易輸入(TRADING IMPORT)」として上記8つの書類を揃えて通関申告をする必要があります。

 

弊社の失敗|⑦支払い明細書(Bank Slip)

「お取引先の日本企業様への支払い方法」の部分で躓きました。

事前確認きちんとせず、行き当たりばったりな筆者が悪いのですが..。

当初、商品を輸入後すぐに担当者様がベトナム出張を控えていたため、支払いは現金で済ませる方向で話を進めていました。

現金支払いにした理由は、2カートンのみのスポット発注で金額も物量も少額(少ない)だったためです。

ですが貨物到着後に、現金支払いではベトナム国内での販売ができないことが発覚。

「貿易輸入(COMMERCIAL USE)」としての輸入通関申告時に、弊社法人口座からお取引先の日本法人口座への支払い明細書[⑦]の提出が必須だからです。

厳密にお伝えすると、振込明細書の提出は、貨物を引き取った後でも可です。(数日以内の提出)

 

さいごに

後日談ですが、支払い明細書[⑦]以外の書類を提出し、輸入税(今回の場合、C/O[⑤]を日本側で手配いただいたのでゼロ)、VATを支払い先に貨物を引き取りました。

翌営業日に海外振込を行い、振込明細書を通関へ提出。これで手続きは完了。

 

当記事がどなたかのお役に立てていれば執筆冥利に尽きます。

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