ベトナムの化粧品市場規模について考えてみる。
昨今の世界全体の化粧品市場規模はどれくらいかご存知でしょうか?
2024年度は、およそ77兆円だったそうです。
日本が3兆円弱。
ベトナムが3,000億円ほど。日本市場のおよそ10分の1です。
2025年から2033年までの年平均成長率(cagr)を見てみると、世界全体市場、日本市場、ベトナム市場、それぞれ4〜7%程度の成長が予測されています。
| 項目 | ベトナム | 日本 | 世界 |
| 市場規模 (2024年度) |
約3,000億〜 4,000億円 |
2.9〜3兆円超 | 77兆700億円 |
| 成長予測 | 2033年までに、1兆500億円程度まで成長 | 2030年代までに、6兆円程度まで成長 | 2033年までに、94兆円程度まで成長 |
| 年平均成長率 (25年〜33年) |
6.2%程 | 4.2%程 | 4.6〜7.1%程 |
| 主要カテゴリー | スキンケア、ヘアケア、メイクアップ | キンケア、ヘアケア、メイクアップ、フレグランス | スキンケア、(ヘア)カラー化粧品、ナチュラル&オーガニック化粧品 |
「ベトナムの化粧品市場は、近年の経済発展と消費者の価値観、都市に住む人々のライフスタイルの変化を背景に、今後も堅調な成長が見込まれています。
日系企業・日系ブランドにとっては、スキンケア・パーソナルケア分野で市場開拓できる可能性が高いとされており、ベトナム市場への進出に前向きな企業も増加傾向にあるのではないでしょうか。」
このような見解が一般的です。
現に、以上のようなご意見をお持ちで、ベトナム進出を検討されている企業様も少なく無いでしょう。
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さて、下記、少し遠回りもしますが、「①人口推移」と「②両国の生活水準」の2つの側面から、ベトナムと日本の市場・ライフスタイルの相違点と、日本企業がベトナムの化粧品市場へ進出・開拓するまでの道筋を想像してみます。
2022年末からベトナム側の販売店事業者として活動している私の個人的見解も織り交ぜてお伝えします。
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「①人口推移の観点」
2023年4月中旬に、ベトナムの人口は1億人を超えました。(世界16位/東南アジア3位)
ホーチミン市Tôn Đức Thắng通り下図の通り、「国土面積」・「人口」・「平均年齢」の3項目で、ベトナムと日本を数字で比べると、確かにベトナムが成長市場だと言えます。ですが、人口が増加し経済発展が顕著だからと言って、国民の消費行動が活発化し商品が売れることへ果たして直結するでしょうか。(そもそも数字の勢い如く発展してる..?)
| 項目 | ベトナム | 日本 | 補足 |
| 国土面積 | 約33万km² | 約38万km² | 日本の総面積から、九州を除いた程度。(約88%) |
| 人口 | 約1億100万人 | 1億2380万人 | 2,000万人ほど日本が多い。 |
| 前年比 | +0.84% | -0.44% | ベトナム: プラス/日本: マイナス |
| 平均年齢 | 32〜35歳 | 49.5歳 | ベトナムが14〜17歳ほど若い。 |
| 首都 | ハノイ | 東京 | – |
| 首都人口 | 約860万人 | 約1,417万人 | 557万人ほど東京人口が多い。 |
| 経済都市 | ホーチミン | 東京 | – |
| 経済都市人口 | 約1,300万人 | 約1,417万人 | 467万人ほど東京人口が多い。 |
「②生活水準の観点」
次に、両国のライフスタイルに関する相違点を見てみます。
日本であれば、47都道府県どこに住んでいても、程度の差こそあれど日常で化粧品を使用している方が大半ですよね。欲しい化粧品があれば、オンライン然り、お気に入りの最寄り店(つまり周辺に複数店舗有り)でも手に入れることが当たり前に出来ます。
美容に関する日本人の意識は、世界的にみても男女ともに高いと言えます。
一方、ベトナムでは「都市部」と「中央直轄市以外の地域(田舎)」では、生活水準・環境・スタイルが大きく異なります。
人口約20万人「バクリュウ(現カマウ省)」の大通り|ベトナム南部メコンデルタエリア田舎では、髪の毛は数日に1度で洗うだけ。(※欧米諸国やオーストラリアなどの国々も洗髪頻度が週数回です。洗髪に限った衛生観念は、世界的に見れば珍しいことではないです。)
店舗での購入に限ると、商品バラエティーは都市部店舗と比べて〜40%ほどと限定的です。そもそも、コンビニなんてなく、パパママショップか地場スーパーが大半で、大型ショッピングモールが無い省も存在ます。
個人的見解として、Z世代以降のベトナム人若年層間の国内格差が、大きく広がるのではと想像しています。
知的水準、教育水準だけでなく、生活環境が中央直轄市とそれ以外の地域で大きく異なります。日本の大都市と田舎のギャップとは次元が違います。
都市部に住む富裕層家庭の10歳前後子供に、「大型ショッピングモールへ行こう」と言っても誰も来ない。スマホやタブレット使っている方が楽しいから。でも、地方の子供なら、みんな喜んでついてくる。もう日常生活に対する考え方が根本的に違う」ってベトナム人経営者が言っていた言葉が、執筆中に浮かんだので書き残します。
もちろん、オンラインショップを使えば、中央直轄市に住む人々同様、どんな商品でも手に入れることができます。ですが、実物を知らない分、あるいは、知識不足で偽物(*フェイク商品_日系化粧品も含む)を掴まされる事例も少なくありません。(*←当時例は、弊社が運営している実店舗「バクリュウ店」、「ベンチェ店」に来るお客様からの貴重な口コミの一事例です。)
生活環境の一例を挙げると、ベトナム最大の経済都市であるホーチミン市から50km圏内の地域でも、給湯器がない家庭が少なくないのが現状です。
私自身の中で個人的に衝撃だったのですが、主要都市で生活しているベトナム人女性でも洗髪は毎日しない方も存在します(少なくなさそう)。特に長髪の方は、スパやサロンで洗髪してもらっているケースもあります。ホーチミン市でも1回あたり500円(80,000VND)以下で、洗髪・トリートメント(お店によってはマッサージや耳掃除)が出来てしまいます。日本では考えられませんが、これくらいの価格なら、週に2,3度利用しても経済的に問題ないですよね。
ベトナム人女性: 忙しいから、洗ったり乾かす時間がないのよ、毎日洗髪するのも髪に良くないし。500円で髪の毛をケアできて、時間を他のことに充てられるから利用しない手はないよね??
美容やスキン・ヘアケアに対する大衆意識が、日本人とベトナム人では大きく異なります。
以上、ベトナム国内における都市部と地方の生活水準を踏まえ大袈裟に言えば、中央直轄市(計6都市)に住んでいるベトナム人が化粧品市場の7割を占めていると仮定すると、約3,180万人が2,100〜2,800億円を消費していることになります。
2024年度で単純計算すれば、1人あたりの消費金額が6,603〜8,805円ほど..どうでしょうか。的を得ていると言えるかな..?
(*再掲|ベトナムの化粧品市場規模_2024年度: 約3,000億〜4,000億円)
厳密に言えば、約3,180万人の内、小児以下や年配者は化粧品を使用していない人がほとんどなのでもう少し該当人口が目減りします。
- ホーチミン(南部)|約1,300万人
- ハノイ(北部)|約860万人
- ハイフォン(北部)|460万人
- ダナン(中部)|約300万人
- カントー(南部)|約140万人
- フエ(中部)|約120万人
現状、海外ブランドが市場の約90%以上を占めています。(*輸入商品に限る。)
人口のおよそ35%に向けて、各国が多種多様な商品を展開し、パイを取り合っていることになります。(全人口が化粧品を使用する訳ないので、かなり強引な言い分ですが。)
- 韓国 ~30%
- 欧州 ~23%
- 日本 ~17%
- タイ ~13%
- 米国 ~10%
Made in Vietnam商品もポツポツ市場へ登場しており、地場ブランド『Cocoon』 等が低価格帯且つオーガニック商品を展開しています。
ですが、地場ブランドの市場シェアは1割にも満たないのが現状です。
ベトナム市場で持続的な競争優位を確立し、成長・発展していく企業戦略を立てるなら、日本国内での市場シェアとは異なり、「ベトナム人ウケする商品の提供」、「他国の商品とのシェア争い」、「流通ルートの確保」、「参入条件や規制」など、より多角的な判断が求められます。(まぁ、とにかく小さくでもやってみないと見えてこない部分も多いのですが..)
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さて、貴社の商品は如何でしょうか?
当記事をご覧になる前と現在で、ベトナムの化粧品市場に対するあなたのイメージに、良くも悪くも何らかの変化があれば執筆冥利に尽きます。
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とはいえ、捉え方を変えて「都市部での市場開拓は大前提として、それ以上に地方で生活する人々へアプローチできれば、ベトナム市場への進出・開拓に大きな可能性と大義を見出せる!」との見方も出来なくはないです…よね。
そう思ったあなた、一度ベトナムへお越しください。
ベトナム南部の地域で差し支えなければ、田舎を含め隅々までご案内いたします。
(続く)
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