「ベトナム市場は勢いがあるから」

「若くて労働力が豊富だから」

これら表面的な情報をもとに進出を検討・決定し、現地の商習慣やスタッフとの摩擦に苦悩する日系企業(特に担当者の方々)を、私はこの7年間、現地法人に所属している従業員という立場から多く見てきました。

確かに、ネットには断片的なニュースやコンテンツが溢れていますし、SNSを見れば、現地のリアルに触れたような感覚に陥ります。(恥ずかしながら、私自身もまだここ)

ですが、ビジネスの現場・実務上で直面する「なぜ、ここでは物事がスムーズに進まないのか?」「彼らは何を基準に判断しているのか?」という本質的な問いに対し、当Webブログ記事を含め、ネット上のコンテンツが答えをくれることは稀です。

私自身、物流業と販売店事業の実務に携わっていますが、現在進行形でほとんど毎日トラブルにぶち当たっています。

お恥ずかしい話ですが、「あれ、論理的ってなんやっけ?、建設的ってなんやっけ?」って自分がおかしくなったのかなと不安に思うことも少なくないです。

そんな日々の中でも、現地の理不尽(とどのつまり文化や精神思想の違いってだけなんだけど)や日系企業との商習慣との軋轢に折り合いを付け、またある時には、私が勝手に信頼を置くごく一握りの諸先輩方へアドバイスを直接いただいたり、勝手に先輩方の諸ブログを読み漁ることでなんとか切り抜けてきています。

そんな諸先輩方に共通している点が、「情報の精度・深度」が高く・深いことです。

もちろん、ベトナム在住歴10年を超えるベテラン勢の主な(というか九分九厘の)情報源は、ここで紹介する「書籍」ではなく、「これまで先輩方自身が築いてきた人間関係」です。

したがって、私のような若輩者が、先輩方と「会話」をするには、ある一定の定量的知識を要求されます。

一般的に、IQ(知能指数)が20以上離れていると会話が成立しないと言われていますが、この場合、IQ以前のお話で、さらに階層が浅い「ベトナム社会主義共和国に関する基礎情報・知識とそれに付随する情報」を指します。

  • ベトナム基礎情報(*一般事情/政治・内政/外交/経済/歴史など)
  • 東南アジア基礎情報(*)
  • 日本国基礎情報(*)と2国間の関係
  • それらを対比した際の知見
  • 携わるビジネスに関する経験・知見…など

当記事で言う「会話」の前提となる基礎的情報は、「書籍」を通じて構造的に学習を深めることも一手であると個人的に考えています。私も自身で購入したり、先輩方からお下がりをいただきながら粛々とページを捲る日々を送っています。(大体忘れるけど)

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さて、前置きが長くなりましたが、当記事では、これからベトナムへ進出される方々があらかじめ「ベトナムに対する解像度を上げる」ために役立つ5つの著書をご紹介します。

これから赴任される駐在員の方や進出を検討中の経営者の方の参考になれれば幸いです。

※下記、紹介する書籍はアフィリエイトリンクを含みます。

 

①導入者向け|ベトナム市場の全体像をASEAN各国の歴史・人口動態を軸に把握できる。

『日本人が誤解している東南アジア近現代史』『日本人が誤解している東南アジア近現代史』
  • 書籍: 『日本人が誤解している東南アジア近現代史』
  • 出版社: 扶桑社
  • 初版: 2020年3月3日
  • 切り口: 「ベトナム」を東南アジア近現代史と各国の人口動態の観点から理解する一冊。進出を検討し始めた人が最初に読むべきバイブルだと思う。
  • 著者: 川島 博之氏
  • 経歴: 1953年東京都生まれ。日本の開発経済学者。工学博士。ベトナム・ビングループ主席経済顧問。Martial Research & Management Co. Ltd., チーフ・エコノミック・アドバイザー。

コロナ禍に本屋で手に取って以来、仕事で行き詰ったり、長期休暇など落ち着いた時間が確保できるタイミングで必ず読み返している1冊です。

ビングループ(現地最大手)の顧問という、ベトナム経済の心臓部に触れている著者だからこそ発信できる情報や見解を知っておいて損はないでしょう。

 

②実務者向け|「なぜ彼らはそう動くのか?」スタッフとの摩擦の正体を歴史から読み取る。

『物語ヴェトナムの歴史 一億人国家のダイナミズム』『物語ヴェトナムの歴史 一億人国家のダイナミズム』
  • 書籍: 『物語ヴェトナムの歴史 一億人国家のダイナミズム』
  • 出版社: 中央公論新社
  • 初版: 1997年7月25日
  • 切り口: 現場でのコミュニケーションに悩む駐在員向け。「なぜ彼らはそう考えるのか?」という問いの答えは歴史にある、という視点で紹介。
  • 著者: 小倉 貞男氏
  • 経歴: 1933年東京都生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業。東南アジア研究の第一人者で、ベトナム戦争報道に関わったジャーナリスト。

東南アジア研究の第一人者の著者が「ベトナム人の民族精神」についての物語です。2,000年以上にわたる外国の支配や戦争を乗り越え、独自の文化と強い民族意識を育んできたベトナム人が、近現代に、いかにして現代の国家を形成するに至ったのかを垣間見ることができます。

 

③実務者向け|現場のリアルな解像度を上げる。

『現代ベトナムを知るための63章』『現代ベトナムを知るための63章』
  • 書籍: 『現代ベトナムを知るための63章』
  • 出版社: 明石書店
  • 初版: 2004年
  • 切り口: 辞書的に使える一冊。物流・商習慣・法規制など、多角的にベトナムを解剖している点を強調。
  • 著者(編著): 岩井 美佐紀氏
  • 経歴: 1963年生まれ。神田外語大学外国語学部アジア言語学科ベトナム語専攻教授。博士(社会学)(一橋大学)。国際学修士(東京外国語大学)。ベトナム地域研究を専門としている。
別著で『現代ベトナムを知るための60章』があります。同著の内容が最新の情報に更新され、章立てや解説が新しく改訂された書籍が『現代ベトナムを知るための63章』です。

「現代のベトナム」を、政治、経済、社会、文化、歴史など63のテーマで解説する入門書です。第3版(2023年2月25日発行)を購入すれば、コロナ禍以降の政府・市民の動き、多様な社会問題、日本との関係性など、最新の動向と直視すべき論点まで、直近のベトナムの動向を網羅的にキャッチアップできるます。

 

④意思決定層向け|日本流の成功体験を一旦捨てる。ベトナムでの投資・経営判断を曇らせるノイズを払う1冊。

『日本人の知らないベトナムの真実』『日本人の知らないベトナムの真実』
  • 書籍: 『日本人の知らないベトナムの真実』
  • 出版社: 扶桑社
  • 初版: 2024年7月1日
  • 切り口: ステレオタイプな「ベトナムのイメージ」を大きく壊し、フラット且つ最前線に立つ著者の視点でベトナムにおけるビジネスの是非を判断するために必要な一冊。
  • 著者: 川島 博之氏
  • 経歴: 1953年東京都生まれ。日本の開発経済学者。工学博士。ベトナム・ビングループ主席経済顧問。Martial Research & Management Co. Ltd., チーフ・エコノミック・アドバイザー。
1冊目の『日本人が誤解している東南アジア近現代史』と同一著者です。改訂版ではなく、よりベトナムに特化・深掘りした「拡大版」や「続編」と言う位置付けの印象です。

日本と異なる社会主義の国ベトナムの歴史、政治、経済、文化を、日本人の常識では見えない視点から解き明かす名著。特に、汚職に対する認識の違い、中国との関係、「税金の代わりに賄賂」といった独自の社会システムや論理、そしてベトナムが直面する成長と課題(貧富の差など)を、一次情報と具体例で解説されています。


 

⑤全対象向け|たった50年前。戦中・戦後を生き抜いた人々が今も生き証人として生活する国について、当時の現地取材を通じて知ることができる。

『ベトナム戦記』『ベトナム戦記』
  • 書籍: 『ベトナム戦記』
  • 出版社: 朝日新聞出版(朝日文庫版)
  • 初版: 1965年
  • 切り口: 技術論だけでなく、この地でビジネスをする上での「覚悟」や「熱量」を養うためのノンフィクションとして紹介。
  • 著者: 開高 健氏
  • 経歴: 1930年大阪生まれ。小説家。サントリーのコピーライターとして活躍後、『裸の王様』で芥川賞を受賞。1965年2月、南ベトナム戦地取材のため従軍。帰国後、同著を刊行。

1964年から65年にかけてのベトナム戦争の様子を記録したルポルタージュです。南ベトナム戦地取材のため従軍した1965年、開高氏は35歳。“今の私と同年代じゃねーか!”と衝撃を受けながら読んでいました。

同著終盤、ベトコンに包囲され集中発砲される渦中から命からがら死地を脱出した場面の文字から伝わる躍動感は、今こうして記事を書いている私の心臓を早めてしまうほど、迫り来るものがありました。


 

 

さいごに

余談ですが、日本へ出張のため一時帰国する際は、大阪市中央区にある「紀伊國屋書店 本町店」へ出かけるますが、ここ2年ほどで、ベトナムや東南アジアに関する多くの書籍を目にするようになったと感じています。

日本市場でもベトナムや東南アジアに関する情報・知識欲需要が拡大していると見て良いのでしょうか..?

Amazonの検索結果_ベトナム 本Amazon
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Kindle等の電子書籍でも、ベトナムに関する多くの書籍に触れることができるので、気になるものがあれば、ぜひ目を通してみてください。

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本を読んで知識を蓄えても、いざ現場に立つと想定外の事態が連続するのが、ベトナムビジネスです。

もし、貴社の具体的な進出課題や物流・販売戦略について、実務ベースでの意見が必要であれば、いつでもご相談ください。