日系企業と韓国系企業のベトナム化粧品市場における戦略の違いを事実整理してみます。

*もちろん、企業毎・ブランド毎・商品毎によって相違があるので、あくまでも、いち見方程度の受け止め方でご覧ください。また所々、私の主観を含めて下記コンテンツを作成しています。

[前提情報|2024年度]

項目 日本 韓国
人口(本国) 1億2,380万2千人 5,180万人
在越邦人数 17,410人 約20万人
在越法人数 約2,500社 約9,000社
新規直接投資
(FDI)額
約6,250億円 約1兆3,900億円
貿易輸出額(*) 約3兆3,696億円 約9兆1000億円
主要輸出貨物 電子機器、鉄鋼、機械・設備・工具等 半導体、偏光板、電子部品、化学製品、鉄鋼等

(*)貿易輸出額: 日本からベトナム / 韓国からベトナム

さて、ベトナムの化粧品市場シェアを見ると、韓国が日本にダブルスコアをつけて約30%を占めています。

ベトナムの化粧品市場における各国のシェア率|2024年度
  • 韓国 ~30%
  • 欧州 ~23%
  • 日本 ~17%
  • タイ ~13%
  • 米国 ~10%

 

訴求・マーケティング戦略の違い

韓国系に限らず、中国系のインフルエンサーマーケティングにも言えることですが。

韓国の化粧品製造メーカーや商社は、本国(本社)にベトナム人スタッフを雇用している企業が多数存在します。

彼ら彼女ら(ベトナム人スタッフ)が、ベトナム国内のKOLを選定後、本社や本国の工場へ招待し、KOLに対して商品説明やイベントを開催します。

当然、KOLの商品理解度やプロモーション活動への意欲が高まり、さらにその過程をKOL当人アカウントで発信させることで、包括的且つベトナム国内の消費者に対してより効果的な販促活動へと昇華しています。

参考動画(TikTok): LGが製造する高級化粧品ブランドの製造工場への視察動画|by @Hannah Olala

参考動画(TikTok): 2023年7月に東京で開催された、エリクシール(ELIXIR)40周年記念イベントに参加|by @Hannah Olala

Hannah Olala(Ms. Hannah Nguyen)さん: 元美容業界幹部の経歴を持つ、ベトナムの著名な美容ブロガー・コンテンツクリエイター・起業家。

1. コミュニケーション手法

観点 日系ブランド 韓国ブランド
主メッセージ 安全性・品質 流行・変化
情報量 多い(説明型) 少ない(直感型)
SNS活用 限定的 積極的
インフルエンサー 専門家寄り ライフスタイル系

2. 消費者との関係構築

項目 日系ブランド 韓国ブランド
ブランド信頼 高い 中〜高
親近感
流行適応 低〜中

 

流通・販売チャネルでの違い

ライブコマース展示会場でライブコマースを行う韓国系企業|SECC
項目 日系ブランド 韓国ブランド
オフライン スーパー・専門店 スーパー・専門店
オンライン(EC) 徐々に拡大 初期から重視
ライブコマース 限定的活用 積極的活用

広告費や販促費の定量比較などできれば、より両国の販促に対する取り組みの解像度が上がるのですが..。どれくらい違いがあるでしょうか。

 

日系企業・ブランドのベトナム化粧品市場戦略

日系化粧品・日系ブランドは、ベトナム市場において安全性の高い商品展開基盤を活かしつつ、ベトナムの気候やライフスタイルにマッチする日本の国内商品を、オフライン・オンライン上で共に信頼を築き、市場での地位を確立しています。(ベトナムの化粧品市場における日本のシェア率:〜17%)

今後、需要が高まると予測されている、スキンケア商品に対するニーズに、EC・実店舗に加え、KOLマーケティングやイベント開催を最大限活用することで、市場でのポジションを高めていく必要があります。

1. 市場での立ち位置

  • 他国・地場商品と比べて「品質・安全性・信頼性」を強みとするポジションで大衆認知されている傾向。
  • 主戦場は、スキンケア分野。
  • 価格帯は、中価格帯〜プレミアム価格帯 が中心。(〜250,000VND / 〜1,500円以下程度)
  • 積み上げ型>瞬発的拡散型で商品展開する姿勢が強い傾向。

2. 日系企業の代表的な戦略要素

項目 客観的事実
製品開発 日本国内で確立した処方・品質基準を重視
品質管理 成分安全性、製造管理を強く訴求
ブランド 「日本製」「日本品質」を明示
展開姿勢 段階的・慎重な市場拡大

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韓国系企業・ブランドのベトナム化粧品市場戦略

一方、韓国企業の特長として、「①SNS・インフルエンサーを活用した強力なデジタルマーケティング」、「②Z世代中心のトレンドに合わせたナチュラル・スキンケア重視の製品開発」、「③TikTok ShopやShopeeなどEC/D2Cモデルの活用」が挙げられます。

特にオンライン上での「現地目線のコミュニケーション」が活発で、若年層から高い支持を集め市場シェアを拡大しています。(ベトナムの化粧品市場における韓国のシェア率:〜30%)

1. 市場での立ち位置|事実整理

  • 若年層(Z世代・若年ミレニアル)向けの商品展開が顕著。
  • スキンケアメイクアップの両方で圧倒的存在感を放つ。
  • トレンド主導型ブランドとして大衆認知されているれている傾向。
  • 新商品展開頻度が日本と比べ高い

2. 韓国ブランドの代表的戦略要素

項目 客観的事実
製品投入 新製品の投入頻度が高い
価格戦略 低〜中価格帯を中心
マーケティング SNS・インフルエンサー活用
訴求 流行成分・即効性・ビジュアル

 

商品カテゴリー別|製品設計における両国の違い

1. スキンケア製品設計の違い

比較軸 日系ブランド 韓国ブランド
処方思想 低刺激・長期使用前提 トレンド成分重視
機能訴求 保湿・美白・UV・エイジング 即効性・話題性
使用感 安定・無香〜微香 香り・テクスチャ重視
商品寿命 長い 比較的短い

2. メイクアップ製品設計の違い

比較軸 日系ブランド 韓国ブランド
主力分野 ベースメイク ポイントメイク
肌配慮 高い 中程度
デザイン シンプル 視覚重視
更新頻度 低い 高い

さいごに

項目 日系ブランド 韓国ブランド
強み 信頼性・品質(機能価値型) トレンド・拡散力(感性価値型)
主戦場 スキンケア メイク+スキンケア
主要世代 ミレニアル Z世代
成長手法 積み上げ型 拡散型

 

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