ベトナムから日本へ商品を輸出する際には、「商品の製造」や「販売」だけでなく、輸出手続き必要書類の手配等、海外輸出の仕組みを理解しておく必要があります。

なぜなら、海外輸出は、1社だけで輸送が完結することはほとんどないからです。

「輸出者」、「物流会社」、「船会社」、「税関」など、複数の関係者が連携して貨物を輸送します。

初めて輸出業務を担当する場合、

  • 「輸出の流れがわからない」
  • 「物流会社とのやり取りが不安」
  • 「どのタイミングで何を準備すればよいのか分からない」

といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

当記事では、ベトナムから日本へ商品を輸出する際の基本的な流れと、物流の仕組みについて初心者向けに解説します。

輸出実務の全体像を理解することで、貿易業務をスムーズに進めることができます。

【図解】ベトナムから日本への輸出基本フロー

ベトナムから日本への一般的な輸出フロー|海上便

ベトナムから日本へ商品を輸出する場合、一般的には次のような流れで手続きが進みます。

ベトナム輸出の基本フロー
  1. 商品の受注・商談
  2. 売買契約の締結
  3. 輸出書類の作成
  4. 物流会社(フォワーダー)へ依頼
  5. 輸出通関
  6. 国際輸送(海上・航空)
  7. 日本での輸入通関
  8. 商品納品

このように、輸出取引では「商取引」・「物流」・「通関」の3つが連携して進みます。

では、それぞれの工程を詳しく解説します。

 

ベトナム輸出の具体的な流れ

ここからは、ベトナムから日本へ商品を輸出する際の具体的な流れを、ステップごとに解説します。

①商品の受注・商談

ベトナムから日本への輸出フロー_海上便_商品の受注・商談-売買契約の締結①商品の受注・商談

輸出取引は、日本のバイヤーから商品注文を受けるところから始まります。

この段階で、主に次の内容を決定します。

  • 商品
  • 数量
  • 価格
  • 納期
  • 支払条件

また、輸送条件(インコタームズ)もこの段階で決めることが一般的です。

ベトナム輸出では、部品等の製品の輸出の場合、輸出者が船積みまでを手配する「FOB」や、運賃まで負担する「CFR/CIF」が一般的によく使われます。

②売買契約の締結

ベトナムから日本への輸出フロー_海上便_商品の受注・商談-売買契約の締結②売買契約の締結

商談内容が合意されると、輸出者と輸入者の間で売買契約を締結します。

この契約内容は、通常次の書類で確認されます。

  • Sales Confirmation(売約定確認書)
  • Purchase Order(注文書)

売買契約は、輸出契約の条件を明文化した書類であり、取引条件の認識を双方で共有するために使用されます。

ベトナムから日本へ商品を輸出する際にも、取引条件を明確にする目的で作成されることが多く、貿易実務の初期段階で重要な役割を持つ書類の一つです。

③輸出書類の作成

ベトナムから日本への輸出フロー_海上便_輸出書類の作成-物流会社フォワーダーへ依頼③輸出書類の作成

輸出取引では、様々な貿易書類を作成する必要があります。

代表的な書類は次の通りです。

書類 用途
インボイス 売買証明
パッキングリスト 梱包内容
船荷証券 輸送契約
原産地証明書 原産地証明

※詳細は、別記事「ベトナム輸出に必要な書類一覧」をご確認ください。

④フォワーダー(物流会社)へ輸送手配

ベトナムから日本への輸出フロー_海上便_輸出書類の作成-物流会社フォワーダーへ依頼④物流会社へ輸送手配

輸出貨物の国際輸送は、通常、フォワーダーに依頼します。

フォワーダーは次の業務を担当します。

  • 船会社の手配
  • 航空貨物の予約
  • 輸出通関サポート
  • 書類作成サポート

初めて輸出する企業に限らず、社内に物流機能を持たない企業は、フォワーダーと連携して物流を進めることが一般的です。

⑤ベトナム輸出通関

ベトナムから日本への輸出フロー_海上便_日本での輸入通関⑤ベトナム輸出通関

貨物を海外へ出荷するためには、ベトナム税関で輸出申告を行う必要があります。

輸出申告では、次の情報が申告されます。

  • 商品名
  • HSコード
  • 数量
  • 価格
  • 輸出先国

問題がなければ、税関から輸出許可(Export Permit)が出されます。

⑥国際輸送(海上輸送・航空輸送)

ベトナムから日本への輸出フロー_海上便_商品納品⑥国際輸送(海上輸送・航空輸送)

輸出通関が完了すると、貨物は日本へ輸送されます。

輸送方法には主に次の2種類があります。

輸送方法 特徴
海上輸送 コストが安い
航空輸送 輸送が速い

一般的には、大量輸送の場合は海上輸送、小口貨物の場合は航空輸送が利用されます。

⑦日本側での輸入通関

ベトナムから日本への輸出フロー_海上便_輸出通関⑦日本側での輸入通関

貨物が日本に到着すると、日本の税関で輸入通関が行われます。

輸入通関では次の書類が提出されます。

  • インボイス
  • パッキングリスト
  • B/L
  • 原産地証明書

問題がなければ、貨物は国内流通が可能になります。

⑧国内配送・納品

ベトナムから日本への輸出フロー_国際輸送海上・航空⑧国内配送・納品

輸入通関が完了すると、貨物は日本国内の配送業者によって最終目的地へ配送されます。

以上が、ベトナムから日本への基本的な輸出フローです。

 

ベトナム輸出物流の各実務者

国際物流では、1社だけで輸送が完結することはほとんどありません。

「輸出者」、「物流会社」、「船会社」、「税関」など、複数の関係者が連携して貨物を輸送します。

主な関係者は次の通りです。

関係者 役割
輸出者 商品出荷
フォワーダー 輸送手配
船会社 海上輸送
税関 通関管理
輸入者 商品受取

国際物流は多くの関係者が関わるため、必要書類スケジュール管理が重要になります。

輸出者(Shipper)

輸出者Shipper輸出者(Shipper)

輸出者とは、海外へ商品を販売し出荷する企業のことです。

今回のケースでは、ベトナム側の販売会社やメーカーが輸出者となります。

輸出者は、国際物流の起点となる重要な役割を担います。

主な業務は次の通りです。

商品の出荷準備

輸出者は、輸出する商品の準備を行います。

具体的には次のような作業が含まれます。

  • 商品の製造または調達
  • 品質確認
  • 梱包作業
  • パレット積み

国際輸送では長距離輸送になるため、輸送中の破損を防ぐための適切な梱包が重要になります。

輸出書類の作成

輸出取引では、さまざまな貿易書類が必要になります。

輸出者が作成する代表的な書類は次の通りです。

  • Commercial Invoice(インボイス)
  • Packing List(パッキングリスト)
  • Sales Confirmation(売約定確認書)…等

これらの書類は、税関手続きや物流手配の際に使用されます。

※各書類の詳細は、別記事「ベトナム輸出に必要な書類一覧」をご覧ください。

物流会社への輸送依頼

輸出者は、物流会社(フォワーダー)へ国際輸送の手配を依頼します。

具体的には次のような情報を伝えます。

  • 商品内容
  • 梱包サイズ
  • 重量
  • 出荷
  • 予定日
  • 輸送方法(海上・航空)

これらの情報をもとに、フォワーダーが輸送スケジュールを調整します。

フォワーダー(Forwarder)

フォワーダー(Forwarder)フォワーダー(Forwarder)

フォワーダーとは、国際物流を手配する専門会社です。

輸出者の代わりに、貨物の輸送手配や通関サポートを行います。

国際物流において、フォワーダーは非常に重要な役割を担っています。

国際輸送の手配

フォワーダーは、船会社や航空会社と連携して輸送手配を行います。

主な業務は次の通りです。

  • 船舶スペースの予約
  • 航空貨物のブッキング
  • 輸送スケジュールの調整

輸送ルートやスケジュールは、フォワーダーの提案によって決まることが多いです。

輸出通関サポート

フォワーダーは、輸出通関に必要な書類の確認や申告サポートを行います。

例えば次のような業務があります。

  • 輸出申告データ作成
  • HSコード確認
  • 税関提出書類チェック

企業によっては、フォワーダーが通関業務を代行する場合もあります。

物流全体の管理

フォワーダーは、輸出から輸入までの物流スケジュールを管理します。

例えば次のような情報を管理します。

  • 船の出航スケジュール
  • 到着予定日
  • 通関状況

そのため、輸出担当者はフォワーダーと密に連携しながら物流を進めることになります。

船会社・航空会社(Carrier)

船会社・航空会社(Carrier)船会社・航空会社(Carrier)

船会社や航空会社は、実際に貨物を輸送する事業者です。

海上輸送の場合は船会社、航空輸送の場合は航空会社が貨物を運びます。

貨物の輸送

船会社や航空会社は、輸送手段を提供します。

主な輸送方法は次の2つです。

輸送方法 特徴
海上輸送 コストが安く大量輸送に向いている
航空輸送 輸送が速く緊急貨物に向いている

多くの貿易取引では、コスト面から海上輸送が利用されるケースが一般的です。

輸送書類の発行

船会社やフォワーダーは、輸送書類を発行します。

代表的な書類は次の通りです。

  • B/L(Bill of Lading)
  • Air Waybill(AWB)

これらの書類は、貨物の受領証や輸送契約書として機能します。

税関(Customs)

税関(Customs)税関(Customs)

税関は、輸出入貨物を管理する政府機関です。

国際貿易では、すべての貨物が税関の管理下に置かれます。

輸出入の監督

税関は、違法な貨物や規制対象商品が輸出入されないよう監督しています。

例えば次のような確認を行います。

  • 商品内容
  • HSコード
  • 価格
  • 数量

これらの情報は、輸出申告書やインボイスをもとに確認されます。

関税・税金の管理

輸入貨物には、関税や消費税が課される場合があります。

税関は次のような税金の管理を行います。

  • 関税
  • 輸入消費税
  • 各種税金

これらの税金が適切に支払われることで、貨物の輸入が許可されます。

輸入者(Consignee)

輸入者(Consignee)輸入者(Consignee)

輸入者とは、海外から商品を購入し国内で販売する企業です。

今回のケースでは、日本側の企業や商社が輸入者になります。

輸入通関の手続き

輸入者は、日本側で輸入通関の手続きを行います。

主に次の書類を税関へ提出します。

  • インボイス
  • パッキングリスト
  • B/L
  • 原産地証明書

通常は、通関業者が手続きを代行します。

商品の受取と国内配送

輸入通関が完了すると、輸入者は貨物を引き取ることができます。

その後、商品は次のような場所へ配送されます。

  • 倉庫
  • 小売店舗
  • 工場
  • 物流センター

これで輸出取引の物流工程が完了します。

 

まとめ|ベトナム輸出は「物流フローの理解」と「連携」が重要

国際物流では、多くの関係者が関わるため、「貿易書類の正確な作成」や「輸送スケジュールの管理」等、各工程の連携が重要になります。

これらの流れを理解しておくことで、物流トラブルや通関遅延を防ぐことができ、取引をスムーズに進めることができます。

これから初めてベトナム輸出を行う場合は、物流会社や通関業者と連携しながら、確実に輸出作業を進めることをおすすめします。

 

ベトナム特有の注意点

旧正月(テト)期間の物流事情ついて

旧暦に基づいて、毎年1月下旬〜2月中旬頃の約1週間が旧正月(テト)で物流が止まります。

毎年、「12月(日本側の年末)」と、「1月」はコンテナ手配や船のスケジュールが混雑するため、早めのブッキングが必要です。

この時期は、ベトナムと日本のフォワーダーの連携(連絡)が遅れてしまうと、日本側でドレーの空きがなく、デマレージが発生することもあるので注意が必要です。

<ドレー(ドレージ)>

港のコンテナターミナル(CY)から倉庫や工場などの指定地まで、海上コンテナをコンテナのままトラックで陸上輸送する作業・手段。

<デマレージ>

輸入したコンテナがCYに到着後、船会社が定めた無料保管期間(Free Time)を超えて滞留した場合に発生する「超過保管料」。

 

ベトナム輸出物流について相談したい方へ

ベトナムから日本への輸出では、「輸出書類の作成」、「フォワーダーの選定」、「通関時のトラブル対応」など、専門的な知識が必要になる場面があります。

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