ベトナム最高級米「ST25」とは?|世界一に選ばれたジャスミンライスの特徴と日本市場での流通可能性
「世界で最も美味しいお米」に通算3度選出され、今やベトナムを代表する高級ブランド米となった「ST25」。
芳醇な香りと日本人の好みに合うもっちりとした食感を併せ持つこの品種は、欧米市場に続き、各国のエスニック市場やアジアンスーパーでも急速に需要が高まっています。
日本市場への流通ルートも既に確立されているものの、日本への米の輸入には、独自の輸入制度や厳格な食品検疫といった高いハードルが存在するのも事実です。
当記事では、「ST25」の基礎知識や国際的な流通状況に加え、日系バイヤーが押さえておくべき輸入実務のポイントを解説します。
1.ベトナム米の中でも注目される「ST25」とは
ベトナム市場価格: (左)150,000VND/5kg / (右)200,000VND/5kg「ST25」は、現在ベトナムで最も評価の高い高級米ブランドの一つです。
「世界で最も美味しい米」に3度選出、日本の厳しい安全基準をクリアし、内閣府食堂で使用された実績を持つこのお米は、近年、ベトナム国内だけでなく世界市場でも注目を集めています。
この米を開発したのは、ベトナムの農業研究者であるHo Quang Cua氏。
長年の研究の末に生み出されたSTシリーズの品種の中でも、ST25は最高品質の品種とされ、世界的な評価を受けています。
現在では、「ベトナム国内の高級米市場」、「欧米向け輸出市場」、「アジア系スーパー」などで流通しており、ベトナムを代表する最高級米としてのブランド位置を確立しています。
2.世界一に選ばれたベトナム米
「ST25」が世界的に知られるようになったきっかけは、 2019年に開催された『世界で最も美味しい米の品評会(World’s Best Rice)』での受賞です。
世界各国の高品質米が集まる国際的な品評会では、これまでは、タイ米やカンボジア米が評価されることが多いイベントでした。
しかし2019年品評会で、ベトナムのブランド米「ST25」が、世界一の米(World’s Best Rice)に選ばれました。
これは、 ベトナム米として初の快挙且つ、世界市場におけるベトナム米ブランドの認知拡大という点でも非常に大きな出来事でした。
その後「ST25」は、2023年に続き2025年の品評会でも受賞。(通算3度受賞)
結果、北米やEU、中国、東南アジア等各国へ輸出が活発になり、ベトナムのプレミアム米ブランドとして、世界各国で知名度を急速に高めています。
3.「ST25」の特徴|日本のバイヤーが知るべき品質ポイント
「ST25」は、ベトナム市場でも、一般的なベトナム米とは異なるプレミアム米カテゴリーに分類されます。
主な特徴は、以下の通り。
3-1.特徴①|強い香りを持つジャスミンライス
ST25は、炊き上がりの香りが強いことで知られています。
3-1-1.香りの特徴
- ジャスミンのような甘い香り
- 炊き上がり直後の香りが特に強い
- 冷めても香りが残る
「東南アジア料理」、「エスニック料理」、「アジアレストラン」との相性が非常に良い米として評価されています。
3-2.特徴②|長粒米(インディカ米)でありながら柔らかい食感
一般的な長粒米(インディカ米)よりも柔らかく、「粘りが少しある」、「パサつきが少ない」という特徴があります。
このため、日本人にも比較的食べやすいインディカ米と評価されている品種です。
3-3.特徴③|粒が美しく、高級米としてふさわしい見た目
ST25は粒の品質も高いことも特徴のひとつです。
- 粒が長く均一
- 白度が高い
- 割れ米が少ない
海外市場では、「高級米」、「ギフト用米」、「ブランド米」として販売されるケースも多く見られます。
4.「ST25」の生産地と生産体制
「ST25」の主な生産地は、ベトナム南部のメコンデルタ地域です。
特に有名なのが、「ソクチャン(Sóc Trăng Province)」です。
ST = Sóc Trăng
この地域は、「豊富な水資源」、「肥沃なデルタ土壌」、「稲作に適した気候」を持ち、ベトナムの主要な稲作地帯として知られています。
「ST25」は、この地域で、「契約農家」、「品質管理された農場」によって生産されることが多く、ブランド米としての品質管理が行われています。
関連記事: チャビン市(Tra Vinh)からソクチャン市(Soc Trang)への移動は船なんです。川に橋が掛かってないから。
5.「ST25」の海外市場での流通状況
「ST25」は近年、世界各国へ活発に輸出されています。
参考記事(*別サイトへ移動): ST25米の「父」が「世界最高の米」の実態と輸出の可能性について語る。
5-1.2024年度|ベトナム米の輸出額
2024年のベトナム米輸出は、全体で47億8000万米ドルを達成。
約30年の歴史で最高額を記録しました。
「世界で最も美味しいお米」に通算3度選出された実績と、ベトナム政府が掲げる「2030年までのベトナム米ブランド開発戦略」に基づき、「ST25」は、通常の白米より20〜30%高い価格設定で、欧州やカナダなど高付加価値市場への輸出が活発です。
5-2.主な輸出先
- アメリカ
- カナダ
- オーストラリア
- EU
- 中国
特に北米では、アジア系スーパーを中心に流通が拡大しています。
ベトナム系スーパーや中国系スーパー、東南アジア食品店等の小売店では、「ST25」はプレミアム米として販売されることが多く、一般的なタイ米より10〜20%高い価格帯で販売されています。
6.日本市場におけるベトナム米の可能性
日本では、米の消費量が減少しているものの、エスニック料理市場や外国人居住者、アジア食品市場の拡大により、輸入米の需要は一定規模存在しています。
特に近年は、「ベトナム料理店」、「東南アジア料理店」、「アジアンスーパー」等の小売店やレストランで、ジャスミンライスの需要が増えています。
「ST25」は、「アジア系食品店」、「業務用レストラン」、「海外食品通販」等で流通・販売できる可能性がある商品といえます。
現に、大手総合商社やアジア食品の輸入・販売を行う専門商社などが、ベトナムから日本への流通ルートを確立しています。
7.ST25を日本へ輸入する際のポイント
「ST25」を日本へ輸入する際には、以下の点を確認する必要があります。
7-1.日本の輸入制度(ミニマムアクセス米)
日本では米の輸入は、「農林水産省(MAFF: Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries)」による制度管理が行われています。
特に、「ミニマムアクセス米制度」、「特定用途米」等の制度が関係するため、専門的な輸入スキームを設計することが重要です。
7-2.食品輸入検査
また、日本への輸入時には、「残留農薬」や「食品検疫」、「表示基準」等の確認が必要です。
そのため、「輸出側の品質証明(書類・データ等)」は勿論、「適切な輸出書類の手配」が必要になります。
8.ベトナム米輸入・物流サポートのご相談
弊社(私が所属するベトナムの現地物流法人)では、ベトナムから日本への輸出・物流サポートを主軸事業として行っています。
8-1.サポート内容
- ベトナム産商品の輸出サポート
- 海上輸送・航空輸送
- 日本向け輸出書類対応
- 日本輸入業者との連携
「ベトナム食品」、「農産物」、「加工食品」等に限らず、多種多少な製品の輸出等に関するご相談も承っております。
「ST25」をはじめとする、ベトナム米の輸入・日本国内流通をご検討の企業様は、ぜひ一度、お気軽にお問い合わせください。


