ベトナムの化粧品市場へ商品を流通するにあたって、特に卸販売を行っている販売店にとって、予期せぬ「欠品」は、事業の根幹を揺るがしかねない大きな課題です。

普段、「コンテナ輸入(FCL)」を行う弊社が、なぜ「EMS(国際郵便)」での少量輸入を余儀なくされたのか。

当記事では、ベトナム市場へ新規商品を導入した直後に発生した「在庫欠品」という痛恨の失敗談を赤裸々に公開します

新規商品の需要予測の難しさや、現地組織の管理体制といった、海外へ進出する企業が直面する側面から、在庫欠品が発生した原因とその対策についても記事内で触れています。

当記事が、皆様のベトナム進出における失敗事例となれば幸いです。

当記事の要点

[欠品の原因]

  1. 初回仕入れ数量不足
  2. 需要予測の難しさ
  3. 社内管理体制の不備

[欠品対策]

  1. 初回仕入れはリスクを取って一定数量を確保する
  2. 需要予測は小売店からのプレオーダーを活用する
  3. 在庫管理は社内で共有し、優先順位を明確化する
この記事を書いている人

ホーチミン市在住|7年目
所属法人|ベトナム企業
立ち位置|同社唯一の外国人
専門領域|物流、化粧品・日雑品の流通

当Webブログ運営者のプロフィール

[弊社情報]
<物流業>
ベトナムに工場を持つ日系企業様の輸出入や国内輸送をサポートしています。

私が所属する法人の公式サイト

<販売業>
日本の化粧品をメインで取り扱う実店舗・自社オンラインショップの運営並びに、小売店様への卸販売を展開しています。

公式EC: [ROKUHACHI MART]
Shopee: [@rokuhachimart]

 

EMSで商品を少量分輸入した理由

日系小売店様への卸販売を初めて数ヶ月目たったタイミングで、同店にお取り扱いいただいている商品を欠品してしまう事態となりました。

そのため、急遽、航空便を利用し、日本の提携商社から必要数量のみを仕入れることになりました。

日本国内の商いでは、欠品などあってはならない事で、国が違えど、こうして失敗談を記事として公開するのも恥ずかしく恐れ多いのですが..。

せめて、今まさにベトナムの化粧品市場へ進出・商品の流通を検討している日系企業様にとってお役に立てることを願い、欠品が起きた原因について、下記で赤裸々にお伝えします。

 

欠品した原因

原因①|新規商品導入時の葛藤|そもそも、輸入個数が少なかった

今回欠品した商品は、これまでベトナム市場に流通していない、ベトナム市場初展開の日系商品でした。

弊社内(ベトナム側輸入販売店)方針で、需要を見極められない新規商品のオーダー数は、同市場で一定数の認知度・需要がある既知商品と比べて、在庫を抱える恐れがあるため(概算が立てられない為)控えめでした。

社内方針がこのような思考に至った背景に、以前、輸入した別ブランドの新規商品の売れ行きが想定より芳しくなかったことがあり、今回の輸入数量に大きく影響していました。

該当商品の初回仕入れ数量

項目 数量(SKUあたり) / カートン数
予定していた(理想の)仕入れ数量 500個 / 25カートン
実際の初回仕入れ数量 100個 / 5カートン

原因②|市場需要の予測が難しい|輸入後、想定より多方面からオーダー(会社・数量共に)依頼があった

また、新規商品の市場需要の見極めが難しいなかで、想定より多くのオーダー依頼があったことも欠品を発生させてしまった原因の一つです。

在庫・売れ行き状況を見て、すぐさま次の仕入れができれば良いのですが、当時、弊社は毎月商品をコンテナ(20 or 40ft/FCL)で輸入できるほど国内販路を開拓できておらず、同時に社内方針として必要以上の在庫を抱えることを最も警戒していました。(そもそも適切な必要在庫がどの程度かなんて把握していないからほとんど感情論なのだが。)

仕入れ先(日系企業)との契約上、基本的に商品の仕入れは、コンテナ(FCL)が最低限だったので、欠品する商品(1SKU)だけでは1コンテナ分のオーダーを組めない事態に陥っていました。(他商品は、3ヶ月前後で販売し切れる数量の仕入れを行っていました。)

原因③|弊社内の管理体制確立不足|卸用として確保していた在庫を他用途で使ってしまった

「①そもそも少量のみの仕入れ」にも関わらず、「②想定より多くの引き合いがあった」ことで、日系小売店様分で確保していた在庫を、社内共有(連絡)なく、別の取引先へ捌いてしまう事態が発生

【失敗談】化粧品の在庫欠品で、日本からベトナムへEMS輸入を余儀なくされた3つの原因と対策

在庫管理体制の未熟さが、小売店様・仕入れ先商社からの信頼を崩してしまうことになりました。

以降幾度となく、「ベトナム人と日本人のお客様に対する向き合い方の違い」に思い悩み、さまざまなアプローチで組織管理を模索していますが、なかなかどうして、管理体制の確立には至っておりません。

 

対策

すでに海外進出した経験がある企業や、社内の管理体制・業務の最適化ができているような大手、長年事業を行っている会社なら、自社体制に見合う人格者・力量のスタッフを雇用・配置できれば、事業は回るでしょう。

ですが、海外進出・取引が初めての企業や弊社のような未経験事業へ参入する企業においては、事業を興す前に、あらかじめ組織運営における明確なルール(線引きライン)を確立するべく、「情報収集(特に失敗談)」や「あらゆるシミュレーション」を行うことが大切です。

対策①|欠品の原因が、「社内スタッフ管理」にある場合

ビジネスの構造・各取引の意義・目的を、全スタッフが理解し体現するまで伝え続ける→権限を取り下げる→組織を最小化

上述した、欠品の原因③「近い将来必ず販売できる日系小売店様用の安全在庫を、今すぐ欲しい他社へ販売してしまう」のような事態が、一度でなく何度も発生する場合、人員管理・在庫管理体制に致命的な問題があるのは明白です。

【失敗談】化粧品の在庫欠品で、日本からベトナムへEMS輸入を余儀なくされた3つの原因と対策

いちスタッフに、ビジョンや各取引を行う狙いや計画をいきなり理解し体現してもらうことは難しい、あるいは、ただただ管理体制が整っていないお粗末な運営であるだけの話かもしれませんが、せめて歩調を合わせてもらえなければ、事業活動をする上で、組織の統制が取れません。

何度も繰り返し伝え続けることで、スタッフの認知・行動を変えていくほかないでしょう。

つまり、社内で新規事業を行う場合は、ある程度の決定権を、1名に集約させないと、どんな活動を行なっても、経験・実績・自社ノウハウが蓄積できず、各々が自身の頭の中で思考したこと以上のパフォーマンスが発揮できず、一体感のない組織へと成り下がってしまいます。

少なくとも、最低限のルール・秩序・そして事業への共通理解・認識が存在し、かつ決定権を1名に集約させない限り、事業としても・個人としても積み上がるものは皆無です。

この状態が改善する兆候がなければ、該当スタッフの権限を下げるか、あるいは、規模を縮小して小さくリスタートするほかないでしょう。当事業に固執する理由がなければ、潔くやめる手も考えられます。

対策②|欠品の原因が、「市場需要の予測精度」にある場合

小売店からプレオーダーをいただく

可能であれば、小売店様から当面3ヶ月分のプレオーダー(想定の仕入れ数量)をいただけると、需要予測の解像度が上がるだけでなく、販売店である弊社の仕入れスケジュールが安定し、「欠品発生率を最小化すること」と「仕入れの最適化すること」につながります。

プレオーダーをいただく際のコツとして、「A. プレオーダーしてくれる小売店様向けの特価お見積りの提示」や「B. ばらまき用の無料サンプル提供」、「C. プロモーションの提案」などが有効です。

プレオーダー時に、デポジットまで頂けていただける仕組みを作り込めれば、仕入れから販売までの事業サイクルが途切れることなく回り出します。

納品先の優先順位を明確にする

先述した通り、今回欠品を発生させた商品は、ベトナム市場にとって初めて流通させる日系商品でした。

そのため、在ベトナム日系小売店様への流通から始め、徐々に市場内認知を拡大していくことを目的に、弊社で準備(化粧品販売手続き)を行い、流通を開始した商品でした。

流通前から隣国で当商品を紹介するTikTok動画等での拡散(バズ)があったことなど、いくつかの要因が重なり、初手から複数の小売店・二次卸からの引き合いがあったことは、大変良いことですが、優先順位(秩序)を保つことが大切です。

その場・その瞬間の引き合いに衝動的に反応してしまう販売体制では、経験・実績・自社ノウハウが積み上がっていきません。(衝動的判断を全否定している訳ではありません。プロセスの話です。)

対策③|欠品の原因が、「資金(キャッシュフロー)」にある場合

社内調整(予算の確保・獲得)

この場合は、事業責任者ができる限り解像度の高い販売シミュレーションを作成し、熱意をもって組織を牽引し、早急に次便の仕入れに漕ぎ着けるほかありません。

弊社の場合、「A. 在庫を多く(多くってどれくらい?感情論で数字は未だ見えてこないのだが)抱えること」、「B. プレオーダーの確約を取っていても、デポジットが貰えない限り信用しないと言う経営判断」の2つの要因が、仕入れを組む毎に、毎回立ちはだかります。

つまり、いつまで経っても、当販売店事業におけて最重要の「仕入れの最適化」ができない状態が続くことで、売上が経っても利益の最適化が追いつかず、当事業における社内の見え方、日々実務を行うスタッフたちのモチベーション、そして経営陣の評価が停滞する事態に陥ります。

当然、そんな体制では、お取引先(仕入れ先・納品先共)との取引がドライブしていかないですよね。

 

まとめ

詰まるところ、「ベトナム市場で、どれくらいの規模で販売店事業を展開したいのか」という問いに、あらゆる角度から同市場を捉えた具体的なビジョンを持てないなら、最初から自主的に参入・商品を流通しない方が良いです。(あくまで現地で実務に携わっている個人的意見。)

上記ビジョンがなければ、「仕入れ条件の線引き」も決められなければ、当然「販売方針の共有・徹底」なんて体現できません。

私は、ベトナム市場での販売事業を成功させる鍵は、単に商品を流通させることで終わらず、貴社・ベトナム販売店企業の両社が共有・理解できる明確なビジョンに基づいた「流通管理ルール」の徹底にあると考えます。

ビジョン(ベトナムの化粧品市場における立ち位置・目的地)がなければ、在庫管理のミスや資金繰りの停滞、組織の統制不足は、本質的に改善できないでしょう。

とはいえ、互いの商売文化も違えば、事業目的も異なる両社が秩序を保つべく共通して掲げるビジョンは、一朝一夕では取り決められず、事業を運営しながら見いだしていかざるを得ません。

そもため、プレオーダーの活用や権限の集約など、目下できる施策を行うことで得る教訓を活かし、強固な体制を築いていくことが「欠品リスク」や「絶えぬ事業課題」を最小化・改善する近道となります。

 

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